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Channel: 五千年前の大洪水と先史文明研究ゼミ
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ガラパゴス諸島

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ガラパゴス諸島
毒蛇の来た道 星野通平 東海大学出版会
南米エクアドルの海岸から西へ1,000km、赤道直下のこの島々は中米コスタリカから伸びる海底山脈の先端に位置している。海底山脈は、その上に乗る島の名をとってココス海底山脈と呼ばれている。海面を2,500m下げるとココス海底山脈はガラパゴス諸島を先端とする、中米から突き出た半島になる。しかし海面を2,000m下げただけでは「ココス半島」とガラパゴス諸島の間には100kmほどの巾の海峡が残ることになる。図9を見ればわかるように現在に比べて2,500mほど海面が低かったのは始新世のことである。その後の海面上昇により中新世の海面は現在より2,000m低い位置にあった。つまりガラパゴス諸島は始新世(5,500万年前から3,800万年前)には大陸と結ばれていたが中新世(2,300万年前から500万年前)には島になっていたのである。
ヘビがいて毒蛇がいない島
ガラパゴス諸島にはヘビはいるが毒蛇はいない。これは私の予想通りである。無毒のナミヘビは始新世に始まり、毒蛇は中新世に誕生したものである。
ガラパゴス諸島は無毒のナミヘビが出現した始新世にはココス半島の先端であった。そして毒蛇が大陸に生まれたときガラパゴス諸島はすでに海に囲まれ大きな島になっていた。ガラパゴス諸島にいるナミヘビはレイモンドフィスと呼ばれる、熱帯アメリカの固有種の仲間である。
ガラパゴス諸島の「生きている化石」たちは始新世の動物の生き残りである、という考えもあるが、それに反対するものもある。反対論者たちはガラパゴス諸島の動物たちは鮮新世(500万年前から258万年前)といった新しい時代に渡来したものである、と主張している。
プレートの湧き出し口
ガラパゴス諸島の動物たちが始新世といった古い時代の生き残りでは困る、という考えがある。
1960年代後半に誕生し、大流行した地球学の一つの仮説にプレートテクトニクス説がある。この考えによると地球の表層は厚さ100kmほどの何枚かのプレート(板)がつなぎ合わされてできている、という図30
そして 大洋底の中央部に長く横たわる海底山脈はプレートの湧き出し口と考えられている。湧き出したプレートは二つに割れ海底山脈の両側の大洋底を水平に移動し、海盆の縁の海溝で地球の内部に潜っていく、といわれている。ところで太平洋のプレートの湧き出し口はガラパゴス諸島を含む東太平洋海膨と呼ばれる海底の高まりである。つまりガラパゴス諸島は地球の内部からプレートが湧きだしたばかりのところである。
そこに5,500万年前から3,500万年前もむかしの始新世の動物の末裔がいては困るのである。私はむしろ、そのような古い時代の動物の生き残りが棲んでいることはガラパゴス諸島が新しく湧き出したプレート上の島、という考えの誤りを示すものと考えている。たかが数100万年のうちに進化速度の遅いカメが、島ごとに甲羅の模様を変えられるであろうか、ヘビにしても中新世以降、種の変化は見られない。

p65
島の岩石より古い島の生物たち
ガラパゴス諸島の「生きている化石」たちが新しい地質時代に渡来した、という人たちの主張の根拠は島を作る岩石の年代である。
ガラパゴス諸島はおもに火山岩でできているが、ところによって石灰岩質の浅海底に溜まった地層が挟まれている。地層の中の貝化石は中新世のものであるといわれていたが、今ではもっと新しい時代のものである、という地質学者もいる。
 放射性元素を用いた火山岩の年代測定の結果は150万年前という値であった。島々は全体として500万年前から300万年前のものであろうといわれる。500万年前にできた島に5,000万年も4、000万年もむかしの動物が棲みつけるはずがない、というのも道理である。しかし
新しい火山島に、古い時代の生物が分布する例はファンエルナンデス諸島の例もある。後で述べる八丈島のマムシもその例である。
大きな火山島では一度の火山活動によって島全体が溶岩に覆われることはない。違った時期、違った方向に流れた、マウナロア火山(ハワイ諸島)の玄武岩溶岩流にそれぞれ活動した年代の案内板が立っている。
 ガラパゴス諸島の土台を見ると2,500mの深さのところでは東西500km、南北300kmの大きさをもっている。ガラパゴス諸島に棲む「生きた化石」たちの先祖はこのような大きな土地に移住して栄えたものと思われる。これらの先祖たちは地質時代の歩みとともに上昇する海面に追い立てられて、いくつかに分かれた山体の頂にむかっていったのであろう。そして長い歴史の間にそれぞれの山体、つまり島ごとにカメの甲羅の模様は違ったのである。
今日はここまで、また夢の世界でお会いしましょう。

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