ヘビの一番古い化石
毒蛇の来た道 星野通平 東海大学出版会
P31アメリカのハーバード大学の教授で長く比較動物学博物館の館長を務めたASローマーは第三紀の始新世以前には確実な蛇の化石はなく、かなり進化した蛇は第三紀のよほど後期になるまでは出現しなかったと述べている。ヘビは新しい地質時代に誕生した動物で今日進化段階の頂点にあるか、頂点に近ずきつつある動物である、と思われる。しかし一般にはヘビは白亜紀の初めのころ、同じ爬虫類のトカゲから分かれたものと考えられている。
p41
ニシキヘビ科のヘビが栄えた始新世は鳥類や哺乳類の歴史からもきわめて特徴的な時代である。現在の多くの哺乳類の種類が出そろったのは始新世であり、ヒズメを持った哺乳類、特にウシやヒツジのようにヒズメが二つに分かれた偶蹄類(目)の仲間が非常に栄えたのがこの時代である。
米国の研究者の論文からファン、アルナンデス諸島に生えている本性シダが白亜紀の化石シダの仲間である、という論文があることを知った。それはなんと日本の科学者で千葉大学教授の西田誠氏父子の論文であった。それによると 北海道の夕張炭田の白亜紀の地層から発見された化石のシダはファン、アルナンデス諸島の生きているシダと同じ属性のものである。
ファン、アルナンデス諸島にヘビがいるかどうかはわからない。私はこれらの島にはヘビはいないであろうと思っている。
太平洋の真っただ中のミクロネシアの島々をはじめ絶海の島にヘビはいない。この孤島とは深さ4,000mより深い海で大陸と隔てられている島のことである。日本列島といえば小笠原諸島がこれに相当する。4,000mの深さで大陸と隔てられている島は、ヘビが誕生して地球上の各地に広がる前の白亜紀中期に切り離された島である。
p74
『毒蛇は中新世に出現した。中新世の海面は現在に比べて2,000m低かった。そのため現在の海面から2,000m低いところを結んだ線(2,000m等深線)を引いたときこの線より浅い大陸側の島には毒蛇が棲んでいる。これが毒蛇の分布についての私の持論である』
渡瀬線は我が国の第一級の動物分布境界線である。渡瀬線から南の島々と台湾、中国南部には毒蛇のハブが分布している。
渡瀬線の北の九州から北海道、そして朝鮮半島からユーラシア大陸の北部には毒蛇のまむしが分布している。
と書かれていました。
今日はここまで、また夢の世界でお会いしましょう。