ギリシア神話
神話5:英雄の誕生
ギリシア神話においては、ヘーシオドスが語る五つの時代の最後の時代、すなわち現在である「鉄の時代」の前に、「英雄の時代」があったとされる。英雄とは、古代ギリシア語でヘーロース(hērōs, ήρως)と呼ぶが、この言葉の原義は「守護者・防衛者」である。しかしホメーロスでは、君公とか殿の意味で支配者・貴族・主人について普通に使用されていた。
英雄崇拝の歴史
神話学者キャンベルは、英雄神話を神話の基幹に置いたが、彼の描く英雄とは、危険を犯して超自然的領域に分け入り勝利し、人々に恩恵を授ける力(force)を獲得した者である。古代ギリシアの英雄は、守護者の原義を持つことからも分かる通り、超自然の世界に分け入って「力」を獲得する者ではない。文献や考古学によれば、ミュケーナイ時代には存在しなかった「英雄信仰」が、ギリシアの暗黒時代を通じて、ホメーロスの頃に出現する。
ここで崇拝される英雄は「力に満ちた死者」であり、その儀礼は、親族の死者への儀礼と、神々への儀礼の中間程度に位置していた。祀られる英雄ごとで様々な解釈があったが、祭儀におけるヘーロースは、都市共同体や個人を病や危機から救済し恩恵を齎した者として理解された。このような崇拝の対象が叙事詩に登場する英雄に比定された。ときが経るにつれ、ヘーロースの範型に該当すると判断された人物、すなわち神への祭祀を創始した者や、都市の創立者などには、神託に基づいて英雄たる栄誉が授与され、彼らは「英雄」と見なされた。
ギリシアの英雄は半神とも称されるが、多くが神と人間のあいだに生まれた息子で、半分は死すべき人、半分は不死なる神の血を引く。このような英雄は、「力ある死者」のなかでも神に近い崇拝を受けていた者たちで、ヘーラクレースの場合は、英雄の域を超えて神として崇拝された。英雄は、都市の創立者として子孫を守護し、またときに、敵対する者の子孫に末代まで続く呪いをかけた。死して勲を残す英雄は、守護と呪いの形で、その死後に強い力を発揮した者でもある。
ゼウスの息子
英雄は古代ギリシアの名家の始祖であり、祭儀や都市の創立者であり名祖であるが、その多くはゼウスの息子である。ゼウスはニュンペーや人間の娘と交わり、数多くの英雄の父となった。数々の王家が神の血を欲した。
と書かれておりました。
英雄崇拝はどこの国にも、どの時代にもあるようですね。
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