ヒッパルコスb
地理学 赤道の回転
ヒッパルコスは『エラトステネスの地理学への反論』と題する三巻本を著したが、現伝しない。この本に関する知識の多くはストラボンから得られる。ヒッパルコスはこの本の中で、エラトステネスを徹底的に批判するが、地理的位置情報の不正確さと内部矛盾への批判が主で、ややこじつけの感がある。ヒッパルコスは、地図が天文学的に計測された緯度と経度のみに基づかなければならず、未知の距離については三角法を用いた計測によって求めなければならないという考えにこだわった。
また、ヒッパルコスは、地理学の理論に関して三つの大きな発明をしている。第一に、地理座標系を初めて用いたことである。第二に、緯度を太陽の傾きだけでなく星の観測結果も用いて決定したことである。太陽の傾きで緯度を知る方法は古くから知られていた。第三に、離れた地点間で同時に月食の観察を行う方法によって経度を決定したことである。また、ヒッパルコスは、その著作の中で「気候表」と呼ばれる実用的な部分で、数十か所の緯度を一覧にした。その中でも特に、かつてエラトステネスが提示したアテネ、シチリア島、インド亜大陸の南端の緯度を、より正確なものに改善した。
ヒッパルコスは、「気候表」の中で緯度を夏至又は冬至の長さと関連付けており、緯度を算出するにあたって用いた黄道傾斜の値を23°40′とした。紀元前2世紀後半の推定値は、23°43′である。ほかの古代の科学者たちが24°の概算値を用いており、クラウディオス・プトレマイオスですら23°51′という値を示している中で、この正確さは驚くべきものがある。
また、ヒッパルコスは、ヘレニズム時代に広く受け入れられていた、大西洋とインド洋とカスピ海がそれぞれ一つの大洋の一部分であるという説に反対すると同時に、エクメーネを拡張して赤道から北極圏の間まで拡げた。 ヒッパルコスの考察は、プトレマイオスの『ゲオグラフィア(英語版)』に見ることができる。本質的に、プトレマイオスの業績は、ヒッパルコスが示した地理学とはなんであるべきかという見解を実現させる試みの末に得られたものである。
と書かれておりました。
コメント
黄道傾斜の値を23°40′とした。紀元前2世紀後半の推定値は、23°43′である。
現在は、23度26分21.406秒となる。
年々黄道傾斜角は、赤道に近づいており、現在の北極点は下に、現在の南極点は上に移動している。
つまり、地球は赤道に対して少しづつ角度を変えて回転している。
言い換えれば、地球の赤道は太陽に対して、大きな糸玉の糸のように回転すると考えてください。
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ヒッパルコスb 赤道の回転
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